5冊目

 

この小説のことは何も知らずに手に取った。

たまたま入った目黒の古本屋にて手に取った。

本を買うことは好きだけれど、それを読むのは別問題。

家に持ち帰ったはいいけれど、まったく読みたいと思えない本というのもある。

よく吟味したはずなのに、

それを購入したときの自分は別人というくらいにひとかけらも読みたくないことがあるというのは、

実にふしぎなだな、とよく思う。

 

それを読む自分は「理想のわたし」で、現実のわたしとは乖離しているのかもしれない。

この本も、読むまでには時間がかかった。

読まないまま手放してしまうことも考えた。

でも、ある日のある瞬間に読み始め、最初の数時間はまるでハマらないながらも、

とにかく読み進めたある時に、カチっとピースが合ったかのように、

突如、「面白い!」となった珍しい一冊。

 

イスラムの変わった話なのだけど、

変わった登場人物たちの、マイノリティ具合というのか、

置かれている環境みたいなものに自分をみたことによって、物語の意味が一変したのだった。

そこからは夢中。

そして、読み終わるのも惜しいとさえ思うものとなり、

読み終わってからおそらく7、8年経った今もこの小説世界のことがこびりついている。

 

以下はInstagramに投稿したときの文章。

 

この本を説明なしで紹介することは難しいので、帯の言葉を書いてみる。

「禁断のイスラム文学 遂にヴェールを脱ぐ! 特殊能力をもつ青年、抑圧された人妻、反社会的に生きる夫婦...... 現代シリアを舞台に、若者たちの愛とセックスを描く衝撃のデビュー作」

ぼくにとってこの本は、自分がゲイとして生まれたことの意味を考えるひとつのきっかけとなった。命を狙われながらも自分たちの信念を貫き表現活動をする夫婦や、夫婦の作品に光を見いだす青年。そして、このような"禁断"の小説を発表した作者の熱にふれ、ハッとした。ぼくも、勇気をもって自分を表現していきたい! と思った。内容はすっかり忘れてしまったけれど、受けた感銘みたいなものは今も残る。本という物体は、それ自体がメッセージを放っているな、と「月」をわが本棚で見かけるとよく思う。

 


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