4冊目

 

だって、この表紙ですよ。こんなにかっこいいカバーがありますでしょうか。

白と黒。そうしてタイトルは「white room」。文字の入り方やフォントもすてき!

 

この本のことは、Instagramの投稿をそのまま掲載してみようと思う。以下。

 

この本の前に、同じ被写体と写真家によるananのグラビア写真がある。

1991年、15歳のぼくは全力で自分を殺そうとしていた。

同性に欲情している自分をどうにかして亡き者にしなくてはと毎日苦闘していた。

だけど、あのモッくんのヌードが近所のコンビニで買えてしまうことには抗えず、震えながらananを手にレジへ向かった。

あんなに緊張して興奮したことはそれまでなかった。

この写真集はそれから数年後にどこかのブックオフで買った。駆けるように車に戻り、運転席ですぐに開いた。

 

人生で一番見ている写真集は間違いなくこれです。

いつの時代のぼくも、コンプリートされたこの世界に心が動く。

今回紹介するにあたり検索し、

篠山紀信さんによる一連のヌード写真集は「アクシデントシリーズ」と命名されていたと知り、合点。

少なくともぼくの人生において、この写真集との出会いはアクシデントみたいなものだった。

どうしても覗きたい世界だったし、覗きたい自分を本当は殺したくないんだと何度も気がつかせてくれた。

 

デジタル世界にはいくらでも刺激的なものがあるけど、

鼓動激しくページをめくる経験、文化は継承されてほしいなと思う。

「世の中に衝撃(アクシデント)を! 」という野心、遊び心が自分にも存在することをこの本はたびたび思い出させてくれる。

 

自分がゲイだということを受け入れられず、

怖くて、恐ろしくて、日記にもそのことを書けなかったぼくにとって、

ananを買うことや、男性のヌード写真集を買うことは、

それこそ、清水の舞台から飛び降りるくらいの勇気が必要な行為だった。

逆に言えば、この作品が、ぼくを清水の舞台から飛び降りさせてくれた。

それほどの力、それほどの魅力があった。

ifはないけれど、もしこの作品に出会わなければ、ぼくは死んでいた可能性もあると思う。

一生自分のセクシュアリティという変えようのないものに蓋をして、抑圧をして、

自分に追い詰められて死んでいたかもしれない。

 

心より篠山先生と本木雅弘さんをはじめ、制作された方々に感謝をしています。

 

去年末、長年お世話になりまくっている光文社Tさんより話をいただき、

瀬戸内寂聴さんと宮沢りえさんの対談の構成をすることになった。

京都の寂庵での対談は、その撮影を篠山紀信さんがされた。

待ち時間にTさんが篠山先生に「彼は絵を描いているんですよ」と伝えてくれたことから、

「絵をやってるの? 写真ならもっと簡単なのに。ふふふ」みたいな感じに先生は言い、

実は、ぼくは先生が卒業された写真学校に通っていたんです、

昔に撮られた本木雅弘さんの写真集はぼくの宝物です!

みたいなことを、なんと本人に伝えることができた。

躊躇したけど、こんなチャンスは二度とないかもと勇気をだして告げてみた。

先生は、「いい写真集よね」みたいなことを言っていた。

ぼくは全力で「はい! めちゃくちゃすばらしいです!」と言った。

 

人生って、ほんとにいろんなことが起こる。

ぼくの経験上、ちょっとした勇気をだすことで、さらにすばらしいことが起きるように思う。

勇気の経験は積み重なり、次回はより足を一歩前へだすことが楽になるように思う。

 

もっといえば、「おくりびと」の時に、本木雅弘さんのインタビューをさせてもらったこともある。

そのときのぼくは今よりも恐れがさらに強かったので、

本人はすごく気さくというか、威圧感がなく、

「みなさんはおいくつなんですか?」なんて、あちらからまず尋ねてくれるような人だったけれど、

ぼくは、言えなかった。あなたのヌード写真集に自分を生きる道がひらけました、と。

 

すこし前に、TVで放送された本木雅弘さんのドキュメンタリーを見て、

モッくんのことを、以前よりも知った気持ちになった。

ぼくの中で感じた人物像としては、ものすごい強い自我と一生向き合う求道者みたいな印象。

そうして、ふたたび写真集を見ると、

写真集の魅力は、被写体である彼の外見的な美しさはもちろん、

内面の自信のなさというか、葛藤という影が美しさの深みを増しているのだと感じた。

 

都会的な衣服を脱ぎ捨て、強い日差しの”楽園”で裸になる。

今できるかぎりのいっさいを写真家に、世間にさらす。

そうした抑圧からの解放という”ストーリー”に、

当時も今もぼくは魅せられつづけているのかもしれないと思った。

 

生きている間に一冊でいいから、ぼくもこういう写真集をつくってみたいなー。

もし今の時代にこのような企画で写真集をつくるなら、誰が被写体に適切だろう?

そんなことをここのところ妄想している。

目下は、よく本人を知らないけれど、見た目や雰囲気から、横浜流星くんに一票!

 

あらためて思うけれど、

美しさには、影がつきものなのかもしれない。

その影は、本人をずっと苦しめるかもしれないが、その苦しみこそが光なのだろう。


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