マルタのやさしい刺繍

ぼくの昔からの癖として、現実逃避がある。

日常とはちがう、別世界にひたりたい。

そうして本やら映画やらをもとめる。

 

おととい、久しぶりにレンタルDVDをした。

1week 5本 1000円というメニューが近所のツタヤにはあり、

ほとんど毎回それを利用している。

今回も5本借りた。

 

1本目。この度最初の鑑賞は『マルタのやさしい刺繍』というスイスの映画。

タイトルと、パッケージの裏のシーン写真の雰囲気に惹かれた。

 

映画は、夫を亡くしたマルタという老女が生きがいを取り戻すというお話。

マルタは、おそらく妻や母という役割に没頭して長い時をすごし、

夫に先立たれたことにより、自分の人生にふたたび放り出された。

彼女は、いくつかの出来事から置き去りにしてきた自分の夢と再会する。

それは、ランジェリーショップをひらきたいというもの。

男尊女卑的な古い価値観のちいさな村で、老女の冒険は人々をざわつかせ、反発心を誘う。

マジョリティーに虐げられ、ふみにじられるマルタの夢。

 

観ていて、ぼくの中に熱い怒りがわいていた。

世間体やら常識やらという”あるべき姿”をあたりまえに多数派が押しつける村社会に、

強い反発と、恐怖と、悔しさと、怒りがわいた。

いつの間にか、マルタと自分を重ね合わせていた。

 

ぼくの中にある思い込みに気がついた。

自分の夢を追うことを正義と信じているということ。

長いものに巻かれる生き方が間違っているという思い。

 

この「かたくなさ」が、社会との不調和をぼくに感じさせてきたのかもしれないと思った。

 

夢を追う生き方はすばらしい。

けれど、夢を追わない生き方もすばらしい。

孤軍奮闘の生き方はカッコイイけれど、

みんなと一緒であることの安心に生きることだって、悪くはない。

どちらかだけが正しいなんて、そんなはずはない。

 

ぼくの中のさみしいマルタに気づき、

マジョリティーな自分を許し、マイノリティーな自分も許した。

おおきく揺れた心の振り子は、一夜明け中心に戻った気がしている。

 

 

 

https://www.alcine-terran.com/maruta/


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